研究者の間やウェブ上の情報共有において、研究活動スタート支援にはいくつかの危険な都市伝説や誤解が流布しています。事実に基づいてこれらを是正します。
誤解①:「スタート支援は若手の練習台だから業績がゼロでも採択される」
これは極めて危険な幻想です。確かにスタート支援はキャリア最初期の支援を目的としていますが、前述の通り採択率は約35〜40%であり、応募者の6割以上は不採択になります。応募調書に過去の主要論文や学会発表を記載する欄がある以上、「博士課程や前職で何一つ論文を出していない研究者」が採択される可能性は極めて低いです。筆頭著者(First Author)としての査読付き論文が少なくとも1〜2本あることが、信頼性を担保する実質的な前提条件となります。
誤解②:「研究活動スタート支援に採択されると、その年の秋の科研費に応募できない」
これもよくある混乱です。結論から言うと、条件付きで応募可能です。8月下旬〜9月にスタート支援の採択が決まった場合、その直後の秋(9月)に公募される翌年度の「若手研究」や「基盤研究」に応募すること自体は認められています。ただし、秋公募の種目が翌年4月に採択された場合、研究活動スタート支援の2年目の予算を「辞退(重複制限による廃止)」して、より大規模な若手研究等へステップアップ(乗り換え)する形になります。決して「スタート支援を取ったから秋は何も出せない」わけではありません。