芸能界で最もトラブルの火種となりやすいのが、いわゆる「クイック矯正」と呼ばれる補綴(ほてつ)治療、すなわちセラミック矯正失敗の後悔理由です。ワイヤーやマウスピースを用いる本来の歯列矯正は歯槽骨の中で歯を年単位でゆっくり移動させますが、セラミック矯正は健康な天然歯を大きく削り、場合によっては神経(歯髄)を抜いてセラミック冠を被せます。
この手法を選択したタレントの手記や告白で共通して語られるのは、治療から数年後に訪れる悲劇です。神経を抜いた歯は強度が著しく低下して歯根破折を起こしやすく、歯根膜からの血流が途絶えることで歯茎が下がり、歯と歯肉の境目に黒ずみが生じる事態に見舞われます。さらに、一度削った自歯は二度と元には戻りません。
一方、本格的なワイヤー矯正を選んだ著名人であっても、抜歯矯正による顔のたるみとほうれい線に悩まされる事例が頻発しています。日本人の骨格は上顎・下顎が前方に位置しやすいため、スペース確保のために小臼歯を計4本抜くアプローチが広く採られてきました。しかし、前歯を骨格の限界を超えて後方へ引っ込めすぎると、口輪筋などの表情筋を内側から支えていた土台が消失します。
その結果、口元がすぼんで唇が薄くなり、頬の皮膚が余ってほうれい線が一気に目立つ「チークコラプス(老婆顔)」と呼ばれる現象が引き起こされます。完璧なEラインを手に入れた代償として、実年齢よりも5歳以上老けて見える顔立ちになってしまう現実は、審美性を何よりも重んじる芸能人にとって最大の誤算と言えます。