ネット上では「ヤマアラシの針には猛毒がある」と噂されることもありますが、針そのものに毒成分は含まれていません。しかし、毒がないからといって安全では決してありません。
ヤマアラシの針に刺さった場合、最も警戒すべきリスクは重度の細菌感染症と組織壊死です。野生のヤマアラシの針には、土壌菌や糞便由来の多様な雑菌が付着しています。抜けなくなった針が肉の深部に達することで、嫌気性菌が繁殖し、破傷風や重篤な化膿性筋炎を引き起こします。
サバンナでは、空腹に耐えかねた若いライオンやヒョウがヤマアラシを襲い、顔面や口の中に無数の針を浴びて命を落とすケースが後を絶ちません。口内に刺さった針を自力で抜くことができず、化膿による衰弱や、獲物を食べられなくなる飢餓によって死に至るのです。