「美味しい水」の正体は、感覚的なものだけではなく科学的な指標で説明できます。環境省が設置した「おいしい水研究会」が提示する要件では、以下の要素が味の決め手とされています。
・硬度(カルシウム・マグネシウム含有量):10〜100mg/L(軟水〜軽度の中軟水)
・遊離炭酸:3〜30mg/L(爽快感を与える炭酸ガス成分)
・蒸発残留物(ミネラル分):30〜200mg/L
・水温:10〜15℃(冷たさが味を引き締める)
・残留塩素:極力少ないこと(0.1mg/L付近)
日本の水はほぼ全域が「軟水」に分類されますが、その中でも地域差があります。硬度が低すぎる(10〜20mg/L程度)超軟水はクセがなくお茶や出汁抽出に適していますが、そのまま飲むとやや物足りなさを感じる場合があります。逆に硬度が高すぎると苦味や渋みが際立ちます。
熊本や大山の水が傑出して美味しいとされる理由は、硬度50〜80mg/L前後という絶妙なミネラルバランスにあります。適度なカルシウムがほのかな甘みを生み、シリカなどの微量元素がコクを与えることで、喉を通る瞬間の心地よい満足感が生まれます。