マナー相談サイトやSNSのコミュニティで頻繁に報告されるのが、「お札の向きを間違えて入れてしまった」「慶事の種類と水引の結び方が合っていなかった」という現場レベルのミスです。どれほど表書きを美麗に仕上げても、内包するお札や水引の形状が作法に反していれば台無しになりかねません。
まず、お祝いに包むお札は「新札(未使用のピン札)」を用意するのが絶対の礼儀です。「この日のために事前に準備してお祝いを心待ちにしていました」という祝福の姿勢を表すためです。銀行窓口や両替機での早期準備が推奨されますが、どうしても用意できなかった場合は、アイロン掛けなどで可能な限りシワを伸ばした清潔な紙幣を使います。
お札を中袋に入れる際の向きには明確な決まりがあります。「中袋の表面(金額を書いた側)に対して、お札の肖像画が表を向き、かつ肖像画が上部(開口部側)に来るように」揃えて入れます。封を開けた瞬間に肖像画の顔が正面に見える形が慶事の作法です。不祝儀(お葬式など)では「顔を伏せる」意味で肖像画を裏面・下部に向けるため、逆向きに封入してしまうと慶弔が逆転する重大なマナー違反となります。
さらに致命的な失敗となりやすいのが「水引(みずひき)の選び間違い」です。水引の結び目にはそれぞれ象徴的な意味が込められています。
【蝶結び(花結び)】
結び目を何度でも解いて結び直せることから、「何度繰り返しても喜ばしいお祝い」に用います。
・適した慶事:出産祝い、入学・進学祝い、新築祝い、長寿祝い、お中元・お歳暮など。
・絶対に使ってはいけない場面:結婚祝い、病気のお見舞い、快気祝い。
【結び切り・あわじ結び】
固く結ばれ、一度結ぶと解くのが困難なことから、「一生に一度きりであってほしい慶事」に用います。
・適した慶事:結婚祝い(10本結び切り)、快気祝い(全快祝い)。
特に結婚祝いに対して「めでたいお祝いだから」と誤って蝶結びのご祝儀袋を選んでしまうトラブルは後を絶ちません。「結婚を何度も繰り返す(再婚)」を連想させるため、結婚関連には必ず「結び切り」または豪華に編み込まれた「あわじ結び」ののし袋を選ぶ必要があります。