フィクサーが担う具体的な役割は多岐にわたりますが、本質はすべて「表の法的手続きでは決着がつかない問題の処理」に集約されます。
第一の役割は、スキャンダルや不祥事のもみ消し工作です。政治家や大企業幹部の汚職、女性問題、反社会的勢力との交際などが週刊誌や捜査機関に露見しそうになった際、情報提供者を特定して口止め料を支払わせたり、メディア幹部に圧力をかけて記事を差し止めさせたりします。
第二の役割は、巨大プロジェクトにおける利権調整と根回しです。インフラ開発、都市再開発、大型M&A(企業買収)などでは、複雑な権利関係や地権者、政治家の思惑が激しく衝突します。フィクサーは対立陣営のキーマンに裏金を分配したり、弱みを突いて懐柔したりすることで、表の交渉が決裂寸前の案件を水面下でまとめ上げます。
彼らが強大な力を維持できる理由は、「表の権力者が手を汚したくない泥仕事」を一身に引き受けることで、権力者側に致命的な弱みを握らせる点にあります。この共犯関係こそが、フィクサーの権力の源泉です。