衛生面への懸念や習慣から便座の上に乗ってしまう人が見落としている最大の盲点が、製品寿命を瞬時に破壊する力学的負荷と、それに伴う人体への破壊的リスクです。一般住宅設備大手(TOTOやLIXILなど)の製品仕様において、洋式便座および便ふたは「人が座面全体にお尻を乗せて均等に体重を分散させること」を前提に設計されています。
便座の便座耐荷重と割れる危険性を検証すると、均等荷重であれば100kg〜150kg程度の静圧に耐えうる強度を確保している製品が一般的です。しかし、靴を履いた足裏のわずか2点、しかも便座の長軸やヒンジ(蝶番)付近に局所的な衝撃荷重が加わった場合、体重50kg前後の人物であっても瞬間的に数倍の応力が集中します。樹脂製の便座はしなりに耐えきれず真っ二つに破断し、陶器製の便器本体ごとクラック(亀裂)が入って粉砕する事故につながります。
さらに恐ろしいのは、破断した瞬間に発生する便座破損による大怪我事故の凄惨さです。救急医療機関の症例報告や公的機関の事故事例によると、破断した強化プラスチックや陶器の破片はナイフのように鋭角に尖り、しゃがみ込んでいた本人の自重によって臀部や大腿部深くに突き刺さります。大腿動脈や坐骨神経を損傷して大量出血に陥り、数十針の縫合や緊急輸血、後遺障害を余儀なくされた事例が国内外で報告されています。感染を避けるために取った行動が、生命を脅かす受傷を引き起こすという痛烈な逆転現象が起きているのが現実です。