こうした構造的疲弊を断ち切るために導入されたのが、防衛装備庁が音頭を取る「包括的兵站支援(PBL: Performance Based Logistics)」を中心とする新たな契約スキームです。従来の装備調達は「壊れた部品を1個いくらで購入する」というスポット契約が主流でした。このやり方では、メーカー側にとって「故障が多いほど儲かる」という逆インセンティブが働き、迅速な部品供給体制を維持する動機が薄くなりがちでした。
これに対し、運用装備の統合整備 最新動向の柱となっているPBLでは、防衛省がメーカーと複数年の長期包括契約を結び、「装備品の可動率〇〇%を維持する」「部品請求から〇日以内に前線へ納入する」といった成果(パフォーマンス)に対して対価を支払う仕組みを採用しています。メーカー側は故障率を下げ、部品のサプライチェーンを効率化すればするほど利益率が高まるため、IoTセンサーを活用した故障予兆検知や、先回りした部品在庫の確保に自発的に投資するようになります。
さらに、統合運用体制 自衛隊の深化に伴い、自衛隊 補給処 一元化の取り組みが急ピッチで進んでいます。これまで陸自補給処(十条、霞ヶ浦など)、海自補給本部(木更津など)、空自補給本部(十条、岐阜など)に分断されていたロジスティクス機能の基幹ITシステムを統合。陸海空で共通して使用する消耗品や汎用資材の在庫データをリアルタイムで共有し、全国のデポから最短距離で現場へ配送するネットワークの構築が進められています。これにより、無駄な安全在庫の削減と前線への納入スピード向上の両立が現実のものとなりつつあります。