では、巨額のコストをかけて維持される宿舎の内部では、日々どのような時間が流れているのか。実際の議員宿舎の利用実態を取材すると、光と影の入り混じった生々しい姿が浮かび上がってきます。
国会開会中の火曜日から木曜日にかけて、宿舎のエントランス周辺は慌ただしい活気に包まれます。早朝から公用車が列をなし、登院する議員たちが乗り込みます。夜になれば、周辺の高級料亭や居酒屋で会合を終えた大物議員たちが吸い込まれていきます。外部の目を遮断できる閉ざされた空間である宿舎は、派閥の密談や政策協議、時には「夜の政治工作」の場として機能してきた歴史を持ちます。
その一方で、金曜日の午後から月曜日にかけて、宿舎は一転して異様な静けさに包まれます。多くの地方選出議員は、週末になると有権者への挨拶回りや地元行事に出席するため、早々に地元選挙区へと帰ってしまうからです。
「金曜の夜になると、赤坂宿舎の明かりは半分以上消える。週末はゴーストタウン同然だ」と、長年永田町を取材する関係者は語ります。実質的に週の半分しか使われていない部屋に、毎月多額の税金が維持費として投じられている計算になります。稼働率の低さと投じられるコストのアンバランスさも、制度の歪みを象徴しています。