社会のあらゆる手続きがオンラインへと移行し、裁判IT化プロジェクトが着々と進行している。行政のポータルであるe-Gov電子申請などを通じた刑事告訴の完全デジタル化を期待する声も大きい。しかし、刑事司法の現場はいまだに極めてアナログな砦のままだ。
法令上、電磁的記録による申告の余地が模索されているものの、2026年現在の実務においても、警察署への告訴状提出は「押印された紙の原本」を持参、あるいは内容証明郵便で送付する手法が圧倒的な実効性を誇っている。デジタル上で送信されたデータは、署内のシステム内でたらい回しにされ、現場の捜査員が本腰を入れるトリガーになりにくいという盲点がある。最先端のITツールで証拠をデジタル解析・整理しつつも、最終的な提出フェーズでは重厚な紙の束を携えて署に出向くというハイブリッドな戦術が、今なお最も確実なルートだ。