近年、エアコンガスの補充見積もりを取って「数万円と言われた」とSNS上で絶句するユーザーが急増しています。その背景にあるのが、世界的な環境規制に伴うR134aエアコンガス規格から新型冷媒R1234yf費用の高騰へのシフトです。
1990年代以降、長らく主力冷媒として君臨してきた「HFC-134a(R134a)」は、オゾン層は破壊しないものの地球温暖化係数(GWP)が「1430」と非常に高いことが問題視されていました。そこで地球温暖化防止の国際枠組みに基づき、自動車各社はGWPが「1未満」という圧倒的な環境性能を持つ新冷媒「HFO-1234yf(R1234yf)」への切り替えを断行しました。日本国内でも2018年以降に登場した新型車(軽自動車やハイブリッド車、EVを含む)の大半がR1234yfを採用しています。
問題は、その冷媒原価と取り扱いコストの劇的な差です。従来のR134aは200g缶が量販店で数百円〜1,000円程度で手に入りましたが、R1234yfは製造特許や高純度精製の難しさから、冷媒缶1本(200g)の原価だけで1万円前後に達します。さらにR1234yfは微燃性を持つため、整備工場側には防爆構造を備えた専用の回収再生充填機(1台数百万円)の導入が義務付けられています。
愛車の冷媒規格は、ボンネットを開けた裏側にあるコーションプレートに明記されています。「HFO-1234yf」と記載されている車両に乗っている場合、かつてのような「ワンコイン感覚でのガス補充」は通用しないことを覚悟しなければなりません。