ネット上の情報では「ケロイド体質の人ほど綺麗に模様が浮き出るから向いている」という言説が散見されますが、これは医学的に極めて危険な誤解です。
瘢痕には、切開した範囲内だけで傷が盛り上がる「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」と、傷の範囲を超えて周囲の健康な皮膚へ腫瘍状に赤く増殖していく「真性ケロイド」の2種類があります。
遺伝的要因の強い真性ケロイド体質を持つ人物がスカリフィケーションを行った場合、緻密に計算された幾何学模様は完全に崩壊し、無秩序に赤黒く肥大化した肉塊となって周囲へ侵食します。その結果、激しい疼痛や引きつれ(拘縮)による関節可動域制限など、一生消えない機能障害と外見的ダメージを背負うことになります。施術前に自身が真性ケロイド体質か否かを正確に見分けることは専門医でも容易ではありません。
【プロの結論】身体改造として選ぶべき人・絶対に見送るべき人の特徴
身体の変容を追求するボディモディフィケーションの世界において、スカリフィケーションは最も覚悟を要する領域です。安易な好奇心や一過性のトレンドで手を出すことは推奨できません。
【検討を見送るべき人の条件】
- 将来的に医療機関や公共施設、一般社会での露出を前提とした生活を送る人
- ケロイド体質の自覚がある、または家族にケロイド・重度のアトピー性皮膚炎の既往歴がある人
- 無麻酔の持続的な激痛や、半年以上に及ぶ創傷管理のストレスに耐えられない人
- 精密でブレのない左右対称のグラフィックを求めている人(生体の治癒力は均一ではないため)
【選ぶ覚悟を持つ人の条件】
- 傷跡の変形、左右非対称、退色といった肉体の不確定要素を「生体のアート」として受容できる人
- 万が一の重度感染症や瘢痕拘縮が発生した際、自己責任として医療処置を受け止める経済的・精神的余裕がある人