ハワイのフラダンスとタヒチのタヒチアンダンスは、同じポリネシア諸島にルーツを持つ兄弟のような関係にあります。歴史的にはタヒチからハワイへと人々がカヌーで渡った際に文化が伝播したとされ、タヒチアンダンスはフラの原型とも言われています。しかし、長い年月を経てそれぞれ独自の発展を遂げました。
フラダンスの根底にあるのは、深い祈りと自然への敬意を重んじるフラダンス ハワイアンカルチャーです。フラは単なる踊りではなく、文字を持たなかった古代ハワイアンが神々への賛美や歴史の伝承、愛の物語を後世に伝えるための「語り部」としての役割を果たしてきました。そのため、手や指先で花、雨、風、感情などを表す「ハンドモーション」が踊りの主役となります。演奏にはウクレレやギター、穏やかなチャント(詠唱)が用いられ、足腰を低く保ちながらゆったりと優美にステップを踏むのが特徴です。
一方、タヒチアンダンスは打楽器の力強いリズムと身体の躍動美が前面に出ます。主に2つのスタイルが存在し、ドラムの高速ビートに合わせて激しく腰を動かす「オテア('Ōte'a)」と、ウクレレなどのメロディに乗せて歌詞を手の動きで表現する「アパリマ('Aparima)」に大別されます。オテアでは言葉を用いず、トエレ(木製スリットドラム)やパフ(太鼓)の重厚な打撃音と同調するように骨盤を高速回転させ、生命力や狩り、神話の情景をダイナミックに表現します。