「途中で怪しいと気づいても、絶対に辞めさせてもらえない」。実際に逮捕された少年たちの公判記録や保護観察記録には、共通する恐怖のプロセスが記されています。なぜ彼らは危険を察知しながらも、自ら警察に駆け込むことができなかったのでしょうか。
最大の要因は、応募時に要求される「身元確認」を装った個人情報の差し出しにあります。指示役は登録手続きと称して、以下の情報を執拗に収集します。
- 生徒手帳・学生証の表面および裏面の鮮明な写真画像
- 本人の顔写真(免許証や身分証を持った状態での自撮り写真)
- 実家の正確な住所、自宅周辺の外観写真、固定電話番号
- 両親の勤務先、氏名、親族の連絡先
ひとたびこれらの情報を握られると、高校生が「やはり辞めたい」と伝えた瞬間に指示役の態度は豹変します。「家に行くぞ」「親の職場を滅茶苦茶にしてやる」「学校に犯罪者だとバラす」といった暴力的な脅迫メッセージが間髪を入れず送りつけられます。孤立無援となった生徒は、「家族に迷惑をかけられない」という防衛本能と極度のパニックから、指示に従い続ける以外の選択肢を見失ってしまうのです。