家庭用の定番殺菌消毒薬として広く知られる「イソジン」に代表されるポビドンヨード製剤は、手術前の消毒や明確な細菌感染の治療において極めて高い効果を発揮します。しかし、これを「日頃の風邪予防」として常用することには大きな医学的デメリットが存在します。
京都大学などの研究チームが実施した大規模な臨床研究(健常者を対象とした水うがいとうがい薬うがいの予防効果比較)では、水うがい群が風邪の発症率を約40%抑制したのに対し、ポビドンヨード液を用いた群では何もしない対照群と有意な差が見られないという結果が報告されています。この現象の背景には、ポビドンヨードの強力な酸化力が病原体だけでなく、喉の正常な上皮細胞まで傷害してしまうという逆効果の機序があります。
また、ポビドンヨードの副作用として見落とせないのが甲状腺機能への影響です。ヨウ素(ヨード)は粘膜から体内に吸収されるため、長期にわたって高頻度で使用し続けると、甲状腺ホルモンの分泌異常を招く危険性が医療現場から指摘されています。特に甲状腺疾患の既往がある方や妊婦・授乳婦の連用には厳格な注意が必要です。