唐津市肥前町と伊万里市にまたがる伊万里湾の東部に点在する島々、それが「いろは島」です。「いろは48文字」にちなんで名付けられたとされる通り、実際には大小48前後(数え方により諸説あり)の無人島がエメラルドグリーンの穏やかな海面に浮かび上がっています。
この景観にまつわる最も有名な逸話が「弘法大師の筆投げ伝説」です。平安時代初期、唐へ渡る前の空海(弘法大師)がこの地を訪れた際、海上に浮かぶ島々のあまりの美しさと繊細さに心を奪われ、「この絶景を筆で描き尽くすことは不可能だ」と悟り、持っていた筆を投げ捨てて感嘆したと伝えられています。
地形学的に見ると、伊万里湾は沈水海岸(リアス海岸)特有の複雑な入り江を形成しており、外海(玄界灘)の荒波が遮られるため、湖のように極めて波静かな水面を保っています。緑豊かな常緑樹に覆われた島々と、鏡のように凪いだ海水のコントラストが、まるで一幅の水墨画のような風情を生み出しているのです。