一般のスーパーやコンビニエンスストアの棚を探しても、普段は赤星を見かける機会が極めて少ない。「なぜ一般販売しないのか」という疑問の声はネット上でも頻繁に見受けられるが、そこには緻密な流通戦略と環境インフラの背景が存在する。
第1の要因は、「大衆酒場・外食文化との共生」だ。サッポロビールは赤星を「酒場の情緒を演出する特別なアイコン」として位置づけ、業務用市場に特化させてきた。暖簾をくぐった客が、昔ながらの栓抜きで王冠を開け、小ぶりなグラスに注ぎ合って飲むという一連の「酒場体験」そのものが赤星のブランド価値を高めている。
第2の要因は、「リターナブル瓶の回収・循環システム」である。飲食店で消費される大瓶(633ml)や中瓶(500ml)は、特約店や酒販店を経由してメーカーへ返却され、洗浄・再充填されるエコシステムが構築されている。家庭用として一般小売へ大量流通させると空き瓶の回収率が低下するため、基本的には業務用ルートを主力として供給がコントロールされてきた経緯がある。
ただし、家庭で楽しみたいというファンの熱烈な要望に応えるため、メーカーは年に数回、350ml缶および500ml缶の「数量限定発売」を実施している。発売時期は毎年、初夏(6〜7月頃)や年末年始(11〜12月頃)に設定される傾向が強く、プレスリリースが配信されるや否や全国のビールファンが争奪戦を繰り広げる風物詩となっている。