「勿忘」の音楽的ハイライトは、atagiとPORINによる緻密なボーカルの掛け合い(歌い分け)にあります。単に交互に歌うだけでなく、男性目線と女性目線の心理的距離感が声の重なりで見事に表現されています。
Aメロ・Bメロでは、一方が主旋律を歌う背後で、もう一方が語りかけるように寄り添います。お互いに言えなかった本音を独白するかのような構成が、物語への没入感を高めます。
そしてサビでは、atagiの力強く伸びやかなハイトーンボイスと、PORINの透明感あふれる儚い歌声がユニゾンおよびハーモニーとして重なり合います。2つの異なる視点が1つのハーモニーへと結実する瞬間は、まるで映画の麦と絹の心がもっとも通じ合っていた奇跡の瞬間をフラッシュバックさせるような、圧倒的なカタルシスを生み出しています。