日本国憲法を理解するうえで不可欠な憲法三大原則(憲法三原則)とは、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3本柱を指します。これらは個別のルールとしてバラバラに存在するのではなく、互いを強固に支え合うトライアングル構造を形成しています。
第1の柱である国民主権は、国の政治のあり方を最終的に決定する権力が国民にあるとする原則です。憲法前文および第1条に明記されており、主権者である私たちが選挙を通じて政治家を選び、国の進路を託す間接民主制の土台となっています。
第2の柱である基本的人権の尊重は、人間が生まれながらにして持っている、決して侵してはならない永久の権利を保障する原則です(第11条・第97条)。自由権、平等権、社会権、参政権、請求権などが体系化されており、そのすべての根幹には第13条の「個人の尊重(生命・自由・幸福追求権)」が据えられています。
第3の柱である平和主義は、国家間の争いを武力によって解決することを一切否定する姿勢です。憲法前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」という宣言とともに、憲法第9条における「戦争の放棄」「戦力の不保持」「交戦権の否認」として具体化されています。
なぜこの3つでなければならなかったのか。法学的な見地から整理すると、その狙いは極めて明確です。過去の反省から「戦争(平和の喪失)は最大の人権侵害を引き起こす」という教訓を得た日本は、平和主義によって国民の生命を守り、人権保障によって自由を担保し、その体制を自ら維持するために国民主権を打ち立てました。つまり、三大原則の究極の目的は「個人の尊厳を守り抜くこと」に集約されているのです。