作中でイクトが見せる「キャラなり(変身)」の数々は、彼の精神的な成長と呪縛からの解放の歴史そのものです。
最も馴染み深い基本形態が、ヨルと心を通わせた「ブラックリンクス(Black Lynx)」です。漆黒の猫耳と尻尾を生やし、手足には鋭い爪を模したクローを装着した姿で、身軽な体術と爪撃「スラッシュクロー」を駆使して戦います。クールで野性味あふれるこのビジュアルは、当時のファンに鮮烈なインパクトを与えました。
物語後半、イースター社によって強制的に洗脳・操られた際に発現したのが、闇堕ち形態「デスレーベル(Death Label)」です。巨大なデスサイズ(死神の鎌)を携え、漆黒のコートを纏った姿はまさに死神そのもの。自らの心を殺し、破壊衝動だけに従う悲劇的な姿は、あむにとっても読者にとっても胸を締め付けられる展開となりました。
そして最終決戦、あむのハミングチャームと唯世の想い、そしてイクト自身の「世界中を自由に旅したい」という本当の夢が重なり合った時、真の変身「セブンシーズトレジャー(Seven Seas Treasure)」が覚醒します。海賊船長を思わせる気品ある意匠へと昇華し、デスサイズは自在に変形するカットラスと銃へ変化。過去のトラウマをすべて乗り越え、完全なる自由を手に入れた瞬間の輝きは圧巻でした。