ネット上のメンタルヘルス情報には「人を信じる勇気を持とう」「ポジティブに相手の良いところを探そう」といった精神論が散見されますが、これは人間不信の当事者にとって極めて有害な誤解です。
すでに心が傷つき警戒アラートが鳴り響いている状態で「人を信じよう」と無理に自己暗示をかける行為は、火災警報器が鳴っている部屋で警報器を力づくで壊すようなものです。信じようと力むほど、相手の些細な裏切りや期待外れの行動に対する失望が何倍にも跳ね上がり、人間不信をさらに悪化させます。
人間不信の治療・改善における最大の盲点は、「信じる練習」をするのではなく「信じなくても安全でいられる距離感を作る練習」をすることです。信頼は無理に生み出すものではなく、安全な境界線が保たれた結果として自然に育つ感情に過ぎません。