金属は熱で膨張し、急冷で収縮する。過酷な走行を終えたばかりの金属ブロックに冷水が触れた瞬間に起きる物理的ショック、それが「熱ショック現象」だ。シリンダーヘッドやエキゾーストマニホールドといった精密部品に微細な亀裂が生じ、最悪の場合はエンジン全損に至る。
現場の自動車整備士は口をそろえて警告する。特にトヨタ自動車などの高効率エンジンは精密なクリアランスで組まれているため、極端な温度変化に敏感だ。モータースポーツの現場では常識とされる熱管理だが、一般的な自動車産業や日常の自動車メンテナンスにおいても、この熱ストレスに対する認識が欠如しているケースは目立つ。