オーラルケアに関するネット情報の中には、科学的根拠を欠いた習慣や誤った思い込みが数多く流通しています。特に注意すべき典型的な誤解を是正します。
まず代表的な誤解が、「力強く磨かないと歯垢(プラーク)は落とせない」という信仰です。プラークは水垢のような細菌の塊であり、台所のシンクに付着したぬめりと同様、適切な毛先のしなりを利用すれば弱い力で十分に絡め取ることができます。強い力で毛先を押し潰すと、毛先が寝てしまい、肝心の歯と歯の間や歯周ポケットに毛先が入らなくなります。結果として、歯垢が残ったまま歯質だけを削るという本末転倒な状態に陥ります。
次に、「歯磨き粉の爽快感=汚れが落ちた証拠」という錯覚です。強力な発泡剤やメントール成分が含まれているペーストを使用すると、口内全体が泡立ち、短時間で「磨いた気」になってしまいます。逆に、長時間のブラッシングを行う人にとっては、口内に滞留した研磨剤と強い摩擦が組み合わさり、エナメル質への攻撃性を極限まで高めてしまう要因となります。