文部科学省の教員勤務実態調査や教育系シンクタンクの公表データを紐解くと、小・中学校教員の約84%が「学期末業務の中で精神的負担が最も重い」と回答するのが通知表の所見作成です。30人から35人前後の学級を受け持つ担任教員の場合、1人あたり200〜300文字の所見を書き上げるだけでも、校正作業を含めれば膨大な労働時間を消費します。職員室の取材では「生徒の良い面を伝えたい気持ちは強いが、言葉選びひとつで保護者とのトラブルに発展しかねないプレッシャーが重くのしかかる」という手記や証言が数多く寄せられています。
一方、通知表を受け取る側の家庭でも無言の圧力が生じています。SNSや大手Q&Aサイトを観測すると、「通知表の親のコメントに何を書けば正解なのか」「先生への感謝だけでは空白が埋まらない」「短すぎると教育に関心がない親だと思われないか」といった切実な投稿が毎年7月と12月に急増します。双方が相手の視線を過剰に意識し、言葉の選び方に疲弊する構図が浮き彫りとなっています。