医学的な見地から見ても、よっさんが直面していた危機は決して大げさなものではありませんでした。糖尿病が進行すると、末梢神経障害と血流障害が同時に進行し、足の先まで血液と酸素が行き届かなくなります。これによって引き起こされるのが、いわゆる糖尿病性足病変(足潰瘍・壊死)です。
この病態に陥ると、小さな靴擦れやかすり傷であっても細菌が急速に繁殖し、皮膚や皮下組織が腐敗していきます。糖尿病による足の切断症状は、痛みを感じにくい神経障害のために発見が遅れ、気付いた時には深部まで感染が広がり、敗血症を防ぐために下肢切断を選択せざるを得ないケースが少なくありません。よっさんの足先にも明らかな変色と腫れが生じており、主治医から「あと少し処置が遅れていたら切断だった」と告げられたのは紛れもない事実でした。