コキンチョウの親鳥は非常に繊細で、周囲の環境変化やストレスによって突然育雛を放棄してしまうケースが少なくない。そこで重要となるのが、手動による「挿し餌」と、優れた育雛能力を持つジュウシマツを仮親として活用する技術だ。
人工給餌を行う際、フォーミュラ(粉末フード)の温度は40℃前後に保つのが絶対条件とされる。38℃以下では食滞(そのうの中でフードが腐敗・停滞する症状)を引き起こし、42℃を超えると高温による「そのうやけど」を引き起こす。また、口角突起を模した専用のスプーンやシリンジのノズルを使用し、自発的な呑み込み反応を誘発することが挿し餌成功の鍵を握る。
一方で、ジュウシマツに托卵(仮親育雛)させる手法は、古くから愛鳥家の間で確立されてきた。ジュウシマツの深い包容力と旺盛な給餌本能は、繊細なコキンチョウの初期生育において絶大な安定感をもたらす。