診察室やSNS上で連日見られるのが、「耐えきれず無意識にゴシゴシ擦ってしまった」という後悔の声です。しかし、眼科医が口を揃えて警告するように、花粉症における眼球の摩擦は自傷行為に等しいリスクを孕んでいます。
目を擦るNG理由の根拠は、アレルギー反応の増幅サイクルにあります。物理的な圧迫が加わると、結膜内に存在する肥満細胞が物理的に破壊され、蓄えられていたヒスタミンが一気に周囲へ飛散します。その結果、かゆみが爆発的に増大し、さらに擦りたくなるという悪循環に陥るのです。それだけではありません。擦る力によって角膜表面に細かな擦過傷が無数につき、そこから黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入すると、難治性の角膜潰瘍へ悪化する危険があります。
また、花粉症やまぶたの腫れ詳細まとめとして見逃せないのが、眼瞼皮膚(がんけんひふ)の脆弱性です。目の周りの皮膚はゆで卵の薄皮ほどの厚さしかありません。激しく擦り続けることで皮膚のバリア機能が完全崩壊し、接触皮膚炎を併発して「お岩さん」のようにまぶたがパンパンに腫れ上がるケースが頻発しています。
そして、最もハイリスクな行動が花粉飛散期のコンタクトレンズ装用です。コンタクトレンズの表面には涙液中のタンパク質や花粉が付着しやすく、装用している間中、アレルゲンを直接角膜に押し当てて擦りつけている状態を作り出します。酸素透過性が低下した角膜は傷の治癒が極めて遅れるため、花粉症コンタクトレンズ危険性への認識不足から、数日の装用で重症化し視界が濁るほどの角膜炎へ進行してしまった事例が後を絶ちません。