遠藤雄弥の俳優人生を語る上で欠かせないのが、若年期の輝かしい実績と、そこからの果敢なキャリアの再構築です。
彼の原点は、2000年に公開された山崎貴監督のSF映画『ジュブナイル』での主演・坂本祐介役でした。当時から卓越した表現力で注目を集めた彼は、2000年代初頭、社会現象となったミュージカル『テニスの王子様』(通称・テニミュ)の初代・越前リョーマ役に抜擢されます。クールで生意気な天才テニス少年を完璧に体現し、2.5次元ミュージカルの黎明期を牽引するトップランナーとなりました。
その後、ワタナベエンターテインメントの若手男性俳優集団「D-BOYS」の初代リーダーに就任。大ヒットドラマ『のだめカンタービレ』では、プライドが高くもコミカルな指揮科の学生・大河内守役を好演し、お茶の間の知名度を飛躍的に高めました。しかし、20代後半を迎えるにあたり、彼は「若手イケメン枠」に甘住することなく、より深く過酷な芝居の世界へと舵を切る決断を下します。
その執念が結実したのが、フランスの名匠アルチュール・アラリ監督による映画『ONODA 一万夜を越えて』(2021年公開)でした。太平洋戦争終結後もフィリピン・ルバング島で約30年間にわたり任務を継続した小野田寛郎氏の青年期を演じた遠藤は、徹底したオーディションを勝ち抜き、過酷な密林での撮影に身を投じました。孤独と狂気、極限状態の人間の尊厳を全身全霊で体現したその演技力は、カンヌ国際映画祭をはじめ世界各国の映画批評家から「奇跡的な名演」と絶賛を浴び、名実ともに国際派俳優の仲間入りを果たしたのです。