SNSや飼い主コミュニティ、知恵袋の投稿を分析すると、15歳以降のケアで最も飼い主の精神を削る要因として「深夜の咆哮のような夜鳴き」が挙げられます。「夜中2時や4時に家じゅうを歩き回り、聞いたこともない大声で叫び続ける」「制止しようと抱き上げても焦点が合わず鳴き止まない」という生々しい苦悩が数多く報告されています。
これらは高齢猫夜鳴きと認知症の兆候(認知機能不全症候群:CDS)の典型例です。ネコ科動物の脳も人間と同様に加齢に伴いアミロイドβの沈着や脳血管障害が起き、見当識障害(自分がどこにいるか分からない不安)や昼夜サイクルの逆転を引き起こします。
現場の実態調査から見えてくるのは、夜鳴きの背景が単一ではないという事実です。高血圧による頭痛、関節痛による姿勢保持の苦痛、あるいは視力・聴力の低下による深い孤独感と恐怖が夜鳴きを増幅させています。
飼い主が自宅で実践できる有効な初期対策は以下の通りです。
- 夜間の完全遮光を避ける:視力が衰えた老猫は暗闇でパニックに陥りやすいため、足元灯や間接照明で薄明かりを確保します。
- 寝床の保温とフェロモン製剤の活用:体温調節機能の衰えを補うペットヒーターを設置し、不安軽減フェロモン(フェリウェイ等)を散布します。
- 昼間の刺激とスキンシップ:日中に適度なブラッシングや声かけを行い、昼夜のリズムを意図的に作り直します。