英語表現「in the sun」を日本語に訳す場合、最も適格な訳語は「日向(ひなた)で」「直射日光を浴びて」です。例えば「The cat is sleeping in the sun.(猫が日向で眠っている)」のように使われます。ここで生じる最大の疑問が、「なぜ前置詞にunderではなくinを使うのか」という点です。
英語教育の現場で長年教鞭を執る応用言語学の専門家は、その理由を次のように明快に解説します。「英語のsunには『太陽という天体』だけでなく、『日光・日差し(sunlight / sunshine)』という不可算名詞の意味が存在します。ネイティブスピーカーの脳内において、日差しは頭上から降り注ぎ、周囲を満たす『光と熱の3次元空間』として認識されています。つまり、光のカプセルの中に身体がすっぽりと入り込んでいる状態を捉えているため、前置詞には包含を表す『in』が必然的に選ばれるのです」。
この感覚は、他の天候表現と比較すると一層明瞭になります。英語では「雨の中」を「in the rain」、「雪の中」を「in the snow」、「霧の中」を「in the fog」と表現します。誰も「under the rain」とは言いません。雨粒や霧の粒子が充満する空間の中に身を置くのと全く同じ認知フレームで、太陽光の降り注ぐ空間の中に身を置くことを「in the sun」と捉えているのです。対照的に、日陰に入る場合は「in the shade」となります。「日向=光の空間の中(in the sun)」「日陰=影の空間の中(in the shade)」という完璧な対称構造が存在している事実からも、ネイティブが日光を「空間」として把握している実態が浮き彫りになります。