幼少期から始まった指導は、徹底という言葉すら生ぬるいものだった。小学生で相撲の世界へ足を踏み入れた貴景勝に対し、一純氏は独自の肉体改造プログラムを発動する。食卓には毎日のように450グラムの牛ステーキやハンバーグ、大盛りの白米が並んだ。肉体作りに投じられた食費は、月に数十万円規模に達したという。
食べるだけではない。自宅には専用のトレーニング機器が並び、一純氏自らがコーチとして四股や股割りを徹底的に叩き込んだ。どれほど幼い息子が泣き叫ぼうと、稽古の手を緩めることはなかった。実業家として多忙を極めるスケジュールの合間を縫い、息子の稽古に付き添い続けた熱量が、幕内最重量級の相手とも渡り合える頑丈な身体を作り上げた。