ヘアトレンドの移り変わりは激しい。だが、このデザインが単なる一過性の流行で終わらなかった理由は明快だ。従来のインナーカラーやハイライトとは一線を画す「計算されたコントラスト」が、顔周りの骨格や肌のトーンを引き立てる視覚効果を持っているからである。
「表面の髪が傘の役割を果たし、内側のカラーの見え方をコントロールできるのが最大の強みです」。表参道のトップサロンでクリエイティブディレクターを務める美容師はそう語る。風が吹いた瞬間や、耳に髪をかけた時のわずかな仕草で表情がドラマチックに変わる。このさりげない自己表現の塩梅が、過剰な演出を好まない日本の現代文化にしっくりと馴染んだ。