歯がない人の食事はどうする?噛めない悩みを救う決定的工夫とレシピについて押さえておきたい ポイントを分かりやすい構成で解説いたします。
市販の介護食や配食サービスを活用する際、適切な柔らかさを選ぶ指標となるのが「日本介護食品協議会」が制定したユニバーサルデザインフード(UDF)と、日本摂食嚥下リハビリテーション学会が定めた「嚥下調整食学会分類(嚥下調整食コード)」です。
利用者の口腔内環境(残存歯数、義歯の使用可否、舌の筋力)に応じて、どの段階の食事を選ぶべきかを整理した客観的データを以下の比較表にまとめました。
規格・分類名詳細・数値データ(物性の目安)適した身体状態・咀嚼レベル編集部の見解・実務上の評価UDF区分1:容易にかめる
(学会コード:4相当)硬さ:5×10⁴ N/m²以下
日常の食事に近い硬さ奥歯が数本残っている、または適合する部分入れ歯がある状態歯が完全にない人には不適。噛む力がわずかに衰えた初期段階向けの選択肢。UDF区分2:歯ぐきでつぶせる
(学会コード:3相当)硬さ:2×10⁴ N/m²以下
スプーンの背で容易につぶれる上下の歯が合わない、総入れ歯を外しているが歯茎が硬い状態歯がない人の在宅介護で最も汎用性が高い標準ゾーン。具材の形を残せる限界ライン。UDF区分3:舌でつぶせる
(学会コード:2-2相当)硬さ:1×10⁴ N/m²以下
全粥・白身魚の煮こごり程度歯がなく、歯茎で押しつぶす力も低下している高齢者舌でつぶせるやわらか食の代表格。口に入れた瞬間にほぐれ、咽頭残留を防ぐ。UDF区分4:かまなくてよい
(学会コード:1〜2-1相当)硬さ:3×10³ N/m²以下
ペースト状、ゼリー状噛む力・飲み込む力の両方が著しく衰えている状態噛まなくてもいい食事メニューの中心。水分分離(離水)による誤嚥防止対策が必須。
ここで重要なのが、「ミキサー食とソフト食の違い」を正確に把握することです。ミキサー食は既存の料理に出汁や水分を加えて撹拌したものであり、水分量が増えるため栄養濃度が薄まりやすく、時間が経つと水分が分離して誤嚥を招く弱点があります。一方のソフト食は、一度ペーストにした食材にゲル化剤や増粘剤を加え、スプーンですくえるゼリー状やムース状に再成型したものです。形を保ちながら舌で滑らかにつぶれるため、現在はこちらのソフト食が医療機関でも主流となっています。