テレビのニュースやネット速報で「〇〇容疑者を書類送検」「〇〇容疑者を逮捕」と報じられる際、多くの読者が「逮捕と書類送検はどっちが重いのか」という疑問を抱きます。刑法および刑事訴訟法に照らすと、書類送検と逮捕の間に罪の軽重による絶対的な線引きは存在しません。
警察が被疑者を逮捕するためには、裁判官が発付する逮捕状が必要です。憲法第33条および刑事訴訟法第199条に基づき、逮捕には以下の2つの厳格な要件が課されています。
- 罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由(逮捕の理由)
- 被疑者が逃亡するおそれ、または罪証(証拠)を隠滅するおそれ(逮捕の必要性)
定職があり、家族と同居していて逃亡する動機がなく、かつ防犯カメラ映像や目撃証言、スマートフォンのデータなど客観証拠がすでに警察に保全されている場合、「逮捕の必要性」が否定されます。この場合、身柄を留置場へ拘束せず、日常生活を送らせながら警察が捜査書類と証拠物のみを検察庁へ送る手続きが取られます。これが一般に「書類送検(在宅送致)」と呼ばれる状態です。
メディアで書類送検の理由が注目を集める背景には、過失運転致死傷罪や企業の業務上横領、あるいは公人・著名人の不祥事などで「容疑を全面的に認めており、証拠隠滅の余地がない」と判断される事例が多いためです。決して「書類送検だから許された」「無罪に近い」という意味ではありません。