声の仕事と並行し、舞台俳優としても巨大な足跡を残してきた。キャリアの初期に劇団四季で培った強靭な身体性とセリフの基礎は、のちに彼が主演級として君臨する東宝グランドミュージカルの舞台で結実する。
日本のミュージカル史を語る上で欠かせないのが、名作『レ・ミゼラブル』初演におけるジャベール警部役だ。法と規律を絶対と信じ、主人公ジャン・バルジャンを執拗に追い詰める男。その頑迷さと、自己の正義が崩壊していく過程の脆さを、村井は圧巻の歌唱力で描ききった。名曲『Stars(星よ)』の独唱で帝国劇場を揺るがしたあの緊迫感は、今も演劇ファンの間で語り草となっている。