島田ゆか絵本の真骨頂といえば、メインストーリーの背後で同時進行する無数のサブストーリー、いわゆる「隠し絵」の仕掛けです。画面の隅に描かれた小さな虫や小動物たちが、ページをめくるごとに少しずつ移動し、独自の生活を営んでいる様子が執拗なまでの筆致で描かれています。
中でも長年ファンの好奇心を刺激してきたのが、ガラゴが携えている「ピーナッツの殻でできた小さな靴」の理由です。片足ずつ丁寧に作られたこのミニチュアの靴は、一体何のために存在するのか。その真相は、続編『うちにかえったガラゴ』や背景の観察によって解き明かされます。
作中を凝視すると、ガラゴの周りにはいつも極小のネズミ「こみみちゃん」をはじめとする小さな生き物が寄り添っています。ガラゴが旅の途中で手に入れたり作ったりしたピーナッツの靴は、彼ら極小の仲間たちのサイズに合わせたプレゼントであり、彼らに対するガラゴの温かな眼差しを具現化したアイテムなのです。また、ガラゴ自身が左右で赤と青の異なる長靴を履いている設定とも呼応しており、「靴」というモチーフを通じて、旅人の自由さと細やかな気配りが表現されています。
背景に潜む隠し要素には以下のような驚くべき仕掛けが存在します:
- 小さな住人たちの生活劇:木の洞や草むらの影で、野ネズミや芋虫が家具を揃えてお茶を飲んでいる。
- 前作・次作の伏線アイテム:バムのマグカップや、ケロちゃんが身につけている小物と同じデザインの雑貨が陳列されている。
- コマ送りで進むドラマ:荷物を運ぶアリの集団が、ページが進むにつれて荷物を落としたり拾い直したりしている。