日本の初夏を彩るアヤメ科アヤメ属の代表格には、あやめとカキツバタに加えて花菖蒲(ハナショウブ)が存在します。愛好家の間では「アヤメ三兄弟」とも呼ばれるこれら3種は、開花のリレーを行うように時期をずらして咲き誇ります。
花菖蒲は、日本の野山に自生するノハナショウブを原種として江戸時代以降に爆発的な品種改良が進んだ園芸植物です。花びらの中心には「鮮やかな黄色の筋(目)」が入るため、花びら中心の色を見るだけで「あやめ(黄色い網目)」「カキツバタ(白い筋)」「花菖蒲(黄色い筋)」と三者三様の判別が完了します。
また、葉の特徴と葉脈にも明確な差異が存在します。花菖蒲の葉には中央に太く隆起した明瞭な主脈(葉脈)が1〜2本走っており、手で触れると筋が浮き出ているのが分かります。それに対し、あやめやカキツバタの葉脈は平坦で主脈がほとんど目立ちません。
このように開花時期の比較を行うと、5月上旬にあやめが咲き始め、中旬にカキツバタへバトンを渡し、初夏から梅雨入りの6月にかけて花菖蒲がフィナーレを飾るという見事な時間的棲み分けが行われていることが理解できます。