小林旭が自宅売却を決断した最大の要因は、半世紀以上にわたって人生を共にしてきた妻・青山京子さんの存在にあります。1967年に結婚した二人は、芸能界きってのおしどり夫婦として知られていました。青山さんはトップ女優としての華々しいキャリアを潔く退き、波乱万丈な小林旭の芸能生活を陰で支え続けました。
しかし、2020年1月、青山さんは肺がんのため84歳で逝去。50年以上連れ添ったパートナーを失った小林旭の悲痛は、当時の記者会見や追悼コメントでも痛切に伝わってきました。「俺の体の半分をもぎ取られたようなものだ」と語ったその表情には、銀幕のタフガイが見せたことのない深い孤独と哀愁が刻まれていました。
二人の思い出が詰まりすぎた世田谷の邸宅は、妻亡きあとの一人暮らしにはあまりにも広大でした。階段の昇降や広大な敷地の草木の手入れ、高い固定資産税の支払いなど、年齢を重ねるにつれて物理的な維持管理が生活の足かせとなっていったのです。手記や関係者への取材でも、豪邸の中を歩くたびに亡き妻の面影がよぎり、精神的な整理がつかない日々が続いていたことが明かされています。愛する妻を見送り、自らの人生の幕引きを見据えたとき、過去の栄華を象徴する邸宅を手放すことは、生き直すための必然のステップでした。