「1/2+1/3の答えは、なぜ2/5ではないのか」――この問いに即答できない大人は決して珍しくない。大学生を対象とした数学基礎学力調査でも、異分母分数の足し算で分母同士・分子同士をそれぞれ足して「2/5」と誤答した割合が約2割に達した事例が報告され、教育界に大きな衝撃を与えた。
分母を足してはいけない理由は極めて明快だ。分数において「分母は大きさを決める単位(基準)」であり、「分子はその単位が何個あるかを示す個数」を表しているからである。異なる単位を持つ数値を、そのまま合算することはできない。たとえば「50円玉1枚」と「100円玉1枚」を足したとき、手元にあるコインは2枚だが、金額の単位を無視して「150円玉が2枚になった」とは言えないのと同じ理屈だ。
直感的な理解を助けるために、ホールピザを思い浮かべてほしい。1枚のピザを2等分した「1/2ピース」と、3等分した「1/3ピース」を皿に集めたとする。見た目にも明らかに「半周分(1/2)」よりも量が増えているはずだ。しかし、もし分母同士・分子同士を足して「2/5」にしてしまうと、小数換算で「0.4」となり、元の「0.5(1/2)」よりも量が減ってしまう。足し算をしているにもかかわらず、足す前より全体の量が減少するという決定的な矛盾が生じるのだ。
計量カップに置き換えても同様だ。2分の1リットルの水(500ml)と3分の1リットルの水(約333ml)を混ぜ合わせれば、合計は約833mlになる。これを2/5リットル(400ml)と計算してしまうのは、水量が消失したことと同義である。計算を進めるには、まず「同じ目盛りの単位」に揃える作業、すなわち通分が絶対条件となる。