納谷兄弟の歩みを語る上で避けて通れないのが、2010年に起きた野球賭博問題に伴う父・貴闘力の相撲協会解雇処分と、それに伴う両親の離婚です。当時まだ小学生・中学生だった息子たちは、突如として世間の厳しい好奇の目に晒されることとなりました。
大手ネット掲示板やSNSでは、兄弟の入門時、以下のような辛辣な声と応援の声が入り乱れていました。
「親父があんな辞め方をしたのに、よく相撲協会に入れるな」(5ちゃんねる相撲板・過去ログより)
「大鵬の孫というだけで特別扱いされるんじゃないか」(当時の知恵袋投稿)
「罪のない子供たちがどれだけのプレッシャーに耐えて土俵に上がっているか。王鵬の立ち合いを見て涙が出た」(X・好角家の投稿)
貴闘力本人が自身のYouTubeチャンネル「貴闘力部屋」で赤裸々に語ったところによれば、解雇直後は子どもたちに過度な負担をかけないよう、あえて距離を置いた時期もあったと述懐しています。土俵に上がる息子たちに向けられる「親の七光り」「不祥事の影」という誹謗中傷を、彼らは言い訳一つせず、土俵上の勝利という結果だけで跳ね返してきました。
実際に大嶽部屋関係者の証言でも、「王鵬も夢道鵬も、稽古場で一度たりとも弱音を吐いたことがない。むしろ『親や祖父の名前ではなく、自分の四股名で覚えさせる』という執念が凄まじかった」と明かされています。世間の偏見を実力でねじ伏せてきたプロセスこそが、現在の彼らの強靱な精神力の源泉泉となっています。