長年語り継がれている「毎朝カレー」のエピソード。伝説の大打者が残したこの習慣の真意を誤解している人は少なくない。実は彼がシアトル・マリナーズ在籍時にカレーを食べ続けていたのは、ホームゲームの日の昼食、すなわち試合前の勝負飯としてだ。朝起きてから球場に向かうまでの限られた時間で、胃腸に負担をかけず、確実にエネルギーを補給する手段として選択されていた。
同じ味、同じ品質、同じ量を摂る。この繰り返しが、体内のわずかな違和感に気づくためのセンサーとなっていた。食後の消化スピードや体の重みを一定に保つことで、打席での感覚のズレを極限まで排除する。メジャー通算3000安打という偉業は、日々の食卓で重ねられた微小な調整の積み重ねによって手繰り寄せられたのだ。