多くのプレイヤーが血と汗を流しながら目指した『夢幻の心臓』のエンディングには、黎明期ならではのビターで幻想的な結末が用意されていました。本作の目的は、世界を脅かす暗黒の支配者を倒し、究極の秘宝「夢幻の心臓」を手に入れて元の平和を取り戻すことにあります。
数々の迷宮を突破し、凶悪なボスを撃破した勇者が最後に手にする「夢幻の心臓」。しかし、それを手に入れた主人公を待っていたのは、単なる現世での栄華ではなく、この冒険の世界そのものがひとつの「夢幻の泡影」であったかのような余韻を残す演出でした。幻想世界からの帰還、あるいは果てなき伝説の一部となる幕切れは、当時のテキスト主体のアドベンチャー演出と相まって、プレイヤーの心に強い哀愁とカタルシスを刻み込みました。
わかりやすいハッピーエンドに留まらない文学的な後味の良さもまた、本作が名作として長く語り継がれる大きな要因です。