SNSや口コミサイトで散見される「富山ブラックはまずい」「塩辛すぎて人間の食べ物ではない」という過激なレビュー。この悪評が生まれる背景には、ご当地グルメとしての知名度が先行したことによる「3つの構造的なすれ違い」が存在します。
第1の誤解は、「スープを飲むもの」として捉えてしまう一般的なラーメン観です。札幌味噌や博多豚骨のように、出汁とタレが絶妙に調和したスープをレンゲで味わう前提で口に含むと、致死量とも思える塩分が舌を直撃します。前述の通り、これはおかずであるため、スープ単体で味わえば塩辛いと感じるのは生理的に当然の反応と言えます。
第2の誤解は、「元祖系」と「現代アレンジ系」の味の落差です。後述するように、全国の物産展やラーメンイベントで富山ブラックの名を広めた店舗のラーメンは、観光客向けに魚介出汁や鶏ガラをブレンドし、スープとして美味しく飲めるよう調整されています。その味をイメージしたまま富山現地の老舗へ足を運び、元祖の洗礼を受けて拒絶反応を起こす旅行者が後を絶ちません。
第3の誤解は、「白米を注文しない」という選択ミスです。店内の常連客を見渡せば、誰一人としてラーメン単体で啜っている人はいません。白米と合わせることで初めて完成する味の設計図を無視してしまえば、ただ塩分過多な麺を胃袋に流し込む苦行へと変わってしまいます。