お弁当による食中毒が発生するプロセスを分解すると、食材の選定から調理、放熱、持ち運びに至るまでのどこかに「菌の侵入と増殖を許す環境」が存在しています。細菌が増殖するために必要な要素は主に「水分(水分活性)」「栄養分」「温度(至適温度)」の3つです。お弁当箱という密閉空間は、ご飯やおかずの蒸気によって湿度が極めて高くなり、栄養価の高いタンパク質や炭水化物が豊富に揃っているため、温度さえ合致すれば爆発的に菌が増える培養器と化してしまいます。
特に危険視されるのが「危険温度帯(20℃〜50℃)」での長時間の放置です。朝7時に調理したお弁当を常温で持ち歩き、室温25℃前後のオフィスや教室に置いておくと、昼食時の12時までの約5時間で菌の数は数千倍から数万倍に跳ね上がります。調理時の手洗いや器具の消毒が不十分な場合、わずか数個付着した菌が昼には発症菌量に達してしまうのです。