取材の現場でパーソナルトレーナーや管理栄養士が口を揃えて警鐘を鳴らすのが、体重至上主義のダイエットが生み出す「隠れ肥満(サルコペニア肥満)」の激増です。
ネット上のコミュニティや知恵袋、SNSを観察すると、「体重48kg・BMI19で痩せ型なのに、健康診断の超音波検査で脂肪肝と診断された」「下腹部だけが異様に出ていて、体組成計に乗ったら体脂肪率が32%あった」といった切実な投稿が後を絶ちません。公の場で見せる華奢なシルエットとは裏腹に、体内では深刻な代謝機能の崩壊が進行しているケースが散見されます。
隠れ肥満とは、「BMIは適正値(18.5〜24.9)あるいは低体重であるにもかかわらず、体脂肪率が男性で25%以上、女性で30%を超えている状態」を指します。その根本原因は、極端な食事制限によって筋肉を削り落とし、リバウンドのたびに体脂肪だけを上乗せしてきた過去の減量歴にあります。
この罠を回避するために不可欠な指標が、除脂肪体重(LBM: Lean Body Mass)の計算方法です。体重から純粋な体脂肪の重量を差し引いた数値であり、骨、内臓、血液、そして骨格筋の総量を表します。
除脂肪体重の算出は極めてシンプルです。
【計算式】除脂肪体重(kg)= 体重(kg)× ( 1 - 体脂肪率 ÷ 100 )
例えば、体重60kgで体脂肪率25%の人の場合、「60 × (1 - 0.25) = 45kg」が除脂肪体重となります。もし減量を進めて体重が56kgになり、体脂肪率が28%に跳ね上がっていたとすれば、除脂肪体重は「56 × (1 - 0.28) = 40.32kg」へと激減しています。減少した4kgの正体は脂肪ではなく、約4.7kgの貴重な筋肉組織が失われ、逆に脂肪が増えたという最悪の代謝衰退を意味します。日々の健康管理においては、体重の増減以上に「除脂肪体重を維持できているか」を監視し続けることが本質的なアプローチとなります。