北海道・札幌市をはじめとする都市部で、なぜ近年これほどまでに「異常発生」「前年比数十倍」といったニュースが報じられるようになったのでしょうか。昆虫生態学や気象庁の観測データの分析から、その主因が「夏季の記録的な高温と秋の気温推移」にあることが判明しています。
アブラムシ類の成長スピードと繁殖力は、周囲の積算温度に極めて強く依存します。夏の平均気温が平年より1℃〜2℃高くなるだけで、成虫になるまでの期間が大幅に短縮され、夏期の世代交代サイクルが通常より1〜2回多く回ります。単為生殖を行う昆虫において世代数が1回増えることは、個体数が数倍から十数倍に跳ね上がることを意味します。
さらに、札幌などの大都市圏特有の都市計画もこの現象に拍車をかけています。街路樹や公園樹として広く植栽されてきた「ヤチダモ」と、緑化樹や庭木として植えられている「トドマツ」が都市空間に高密度で共存しているため、移動距離が短く生存率が極限まで高まるという都市生態系特有のトラップが生じているのです。