閉館説と並んで検索されるのが「富士松園ホテル 心霊の噂」や「噂の真相」というオカルトめいたキーワードです。しかし、警察記録や地元消防の公的データ、地域報道を精査しても、同ホテル内で特異な事件や重大事故が発生したという事実は一切存在しません。
この根拠のない噂が生まれたメカニズムには、山中湖という土地柄特有の環境と、過去の利用形態が深く絡み合っています。
第一に、標高約1,000mに位置する山中湖畔は、夜間から早朝にかけて濃い霧に包まれる日が多く、湖畔の静けさと相まって独特の幻想的な雰囲気を醸し出します。第二に、富士松園ホテルは全110室(和室80室、洋室23室、ジュニアスイート4室、バリアフリー1室、温泉風呂付スイート2室)という広大なキャパシティを誇るため、かつては学生の合宿や修学旅行の拠点として頻繁に利用されていました。夜の長い廊下や大きな浴場で若者が怪談話で盛り上がり、それが後に掲示板やSNSへ「あそこのホテルで怖い体験をした」と誇張されて書き込まれたことが、デジタルタトゥーのように残ってしまったのが実情です。