言葉のルーツを辿ると、キャミソールという名称は中世ラテン語で「シャツ・肌着」を意味する「camisia(カミシア)」に由来します。これが古プロヴァンス語の「camisola」を経て、フランス語の「camisole」へと定着しました。当初は女性専用ではなく、男性が上着の下に着る短い胴着や、袖付きのナイトジャケットなどを指す言葉でした。
女性服の歴史において大きな転換期となったのは、19世紀末から20世紀初頭にかけての衣服改革です。当時、上流階級の女性たちは鯨の骨などで作られた硬いコルセットでウエストを極限まで締め付けていました。そのコルセットの上に着用し、アウターへの摩擦や汚れを防ぐ薄手の裏地として用いられたのが近代キャミソールの原型です。
1920年代に入ると、デザイナーのココ・シャネルらに代表される動きやすい女性服の台頭や、活動的な「フラッパー」と呼ばれる若い女性たちの登場により、女性たちはコルセットから解放されます。下着はより薄く、軽く、直線的なシルエットへと変化し、キャミソールは華奢な肩紐を持つ現代のスタイルへと定着していきました。
さらに1990年代以降、ファッション界では「ランジェリールック」と呼ばれる大きな潮流が巻き起こります。かつては人前で見せることがタブーとされていた下着を、あえてアウターとして堂々と露出するスタイルです。身体を過度に拘束することなく、自分の意思で快適さと美しさを選ぶという身体観の変化が、キャミソールを下着から「ファッションの主役」へと押し上げた背景にあります。