アイスランドガイは、アイスランド周辺、北海、バルト海、北米東岸などの冷涼な砂泥底を主な生息地とする丸みを帯びた黒褐色の二枚貝です。通常でも100年〜200年以上生きることが珍しくなく、平均的な寿命自体が桁違いのスケールを誇ります。
長寿の秘密を探るため、海洋生物学者や生化学者による分析が続けられてきました。その鍵は「極限の低代謝」と「抗酸化防御システム」にあります。
一般的な生物は、呼吸によって体内に取り入れた酸素の一部が活性酸素となり、細胞やDNAを傷つけることで老化が進みます。ところがアイスランドガイは、冷水温の深海で極端にエネルギー消費を落とすだけでなく、細胞膜を構成する脂質の酸化耐性が異様なほど高いことが判明しています。数百歳になっても、若い個体と同等の抗酸化酵素活性とタンパク質修復能力を維持し続けているのです。