砂出しを行ったにもかかわらず砂が残ってしまう最大の原因は、しじみの生理生態を無視した環境セッティングにあります。調理現場や家庭の失敗例を検証すると、主に「排出した砂の再吸入」「酸欠による活動停止」「急激な温度変化による仮死」の3点が浮き彫りになります。
とくに見落とされがちなのが、ボウルの底にしじみを直接敷き詰めてしまうケースです。しじみは自ら吐き出した砂を底に溜めますが、平皿やザルを使わずに底面へ貝を密着させていると、呼吸の過程で一度吐いた砂を再び吸い込んでしまいます。平底のザル付きバットを用意し、貝が重ならないように並べることが必須条件となります。
また、しじみを重ねて密閉容器に入れたり、水深を深くしすぎたりすると呼吸困難に陥り、貝殻を固く閉ざして砂を吐かなくなります。水面の高さは「貝の頭がわずかに水から出る程度」に留めるのが、貝をリラックスさせて活発に活動させる最大のポイントです。